はじまり
ソフトを起動してみると、言語の選択をしたかと思ったら、タイトル画面も「はじめから」も「つづきから」も何もなしに、光に語りかけられるところから始まりました。
「リンク……リンク……」(とは言っていない。)
なんだか、このはじめてすぐ無から語りかけられる感じが『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』と似ていて、思い出してしまいました。
光は、自らを「アルセウス」と名乗り、「あなた」たる主人公のことを聞いてきます。
ここで、ポケモンではお馴染みの見た目(と性別)の選択と、名前の入力です。
金髪碧眼にしようか悩みましたが、舞台は日本ですし、デフォルトネーム(選ばなかった場合に登場するキャラクターの名前)は、男の子がテル、女の子がショウ、ということで、黒髪黒瞳にしました。
それにしてもまんまヒカリちゃんですね。髪型と髪飾りまで同じとは。
光ことアルセウスは語りかけます。
「あなたが これから おりたつせかいには ひとがポケモンとよぶ ふしぎないきものたちがいます」と。
もちろん知っていますとも。今までとは違う“新しいポケモン”ということで、事前情報はほぼ入れずにプレイをはじめましたが、たくさんのポケモンたちが生きる世界を冒険することはわかっています。
ゆめとぼうけんとポケットモンスターの世界にさっさとレッツゴーしたいです。
わくわくが抑えきれず、流してしまいましたが、よくよくちゃんと聞いてみると「ん?」となるセリフです。
「これから降り立つ世界」?
今いる世界とは別の世界に行くということ……?
きらきらと光り輝く幸せな光景が、もやっと一瞬だけ歪んで見えた時のような、そんな不気味で曖昧な予感が脳裏をよぎります。
そしてアルセウスは、こう締めくくりました。
「すべてのポケモンにであうのです そのときまた すがたをみせましょう」
……え。「すべてのポケモンと出会う」って、結構大変では?
赤、ピカチュウ、金、クリスタル、サファイア、エメラルド……(まだまだ続く)と、たくさんのバージョンのポケモンを遊んできましたが、図鑑を完成させたことは一度もありません。(厳選もしないぼっちエンジョイ勢)
集めきろうと思ったことすらないのですが、オープニングで仰々しく告げられたということは、最終目標はアルセウスと対面を果たすことなのでしょうか。今作に何種類登場するのかはわかりませんが、ストーリーやサブクエスト等をこなせばいける、あるいはソードみたいなランダム交換的なやつがあると信じます。
スマホを取りたいだけなのに
おかしな夢を見た。謎の光が苦行を強いるんだ。
ってな感じで目を覚まして日常が始まるのかと思いきや、気がつくと主人公は暗闇の中を落下していました。
ラビットホール?
なすすべなくもがいていると、スマホがひらりと落ちてきます。しかし掴み取ることができません。
「待って、わたしのスマホ!」という心境でしょうか。
ここで違和感に気づきました。
主人公めちゃくちゃ現代的な格好しているし、スマートフォンが存在しているということは、もしかして現代人!? つまりこれは最近流行りの異世界転生もの!? ……いや、舞台は大昔のシンオウ地方という話ですし、過去転移(タイムスリップ)でしょうか。
主人公は現地の方だと勝手に思っていたのでちょっと衝撃でした。
13, 14歳くらいでしょうか。もしかしたら主人公は、ダイパクリア後のヒカリ(コウキ)なのかもしれません。
スマホをつかみとれずにいると、やがて周囲に、一つ、また一つと光が瞬き、一点に集まっていきます。その光の集まる先に現れたのは、アルセウス。いやそんなことよりどうしても気になってしまうスマートフォンは、アルセウスの光に包まれ、光の塊のようになって手元に戻ってきました。
それを受け取った主人公もまた、ゆっくりと、アルセウスの光の中へ。
光に抱かれるように、白んでいく闇の向こうに呑み込まれていきました。
どういうことなのでしょうか。
これで異世界に飛ばされてしまうのか。全ては夢でしたというオチになるのか。
ここでようやく出てきた『Pokémon LEGENDS アルセウス』のタイトルロゴに、興奮がとまりません。
空から落ちてきた人
再び意識を失っていたようです。
主人公は、「Wake up!」という、わりと聞き慣れた異国の言葉によって目を覚ましました。
顔を上げると、視界に入ってきたのは、青い空と白い砂浜と3匹のかわいい生き物(と誰か)。
ヒノアラシ! モクロー! ミジュマル!
今回の御三家がこの3匹だということは知っていました。かわいい。
金銀時代はチコリータ、クリスタルではヒノアラシ、サンムーンはモクロー、BWはツタージャが相棒だったのですが、今回はどのコにしよう。やっぱりヒノアラシかなぁ。
そんなポケモンたちのそばに立っている知らないおじさんは気安く声をかけてきます。
「空から落ちてきて驚いた」というおじさん。
自然と、『天空の城ラピュタ』のあのシーンが浮かびました。
シータとパズーのような画にはなりえなかったようですが、一体どんな風に落ちてきたんでしょうか。
おじさんは主人公を見て「なんともいえない不思議な格好をしている」と表現したので、やはりここは主人公がいた場所とは違うようですね。おじさんの格好はスーツに白衣にやたらでっかい白ぽんぽんのついたニット帽とまあまあ特殊なので、絶妙に現代のポケモンワールドにいてもおかしくない感じです。
ここがどこなのか、なぜここにいるのか、というか目の前のこの人は何者なのか、何もわからない主人公に対して、おじさんは「このあたりに知りあいはいるのですか?」「いくあてはあるのですか?」「そもそも生きていけるのですか?」とめちゃくちゃ畳みかけてきます。
おい、相手は子どもだぞ? 不安にさせるんじゃないよ! というか保護せぇよ!
信じがたい状況に陥っている混乱と、先の見えない不安と、誰も味方のいない心細さと……、いろんな感情が押し寄せて、俯いてしまう主人公。そんな現実を容赦無く突き付けてくる変な格好のおじさん。そして大人しく主人公を見上げるかわいい3匹。……の図です。
え、本当に助けてくれないの……? と不安になる間の後、おじさんは「わかりました! 困っている人を見捨てるわけにはいかないのです!」と笑顔を見せてくれました。よかったです。
主人公の安堵を察したのか、3匹が急に鳴き声を上げてその存在を主張しはじめました。
いちいちかわいいぞ!
「そうでした!」と何かを思い出したおじさん。そろそろ名乗って欲しいです。
なんでも、逃げた3匹を追ってきたら主人公が落ちてきたとのこと。もしかして今のは「ぼくたちがみつけたんだぞ!」という主張なのでしょうか。かわいい。
それにしても、“降りてきた”とかではなく“落ちてきた”わけですから、それなりのスピードでどすんときたってことですよね。まあまあ乱暴な放り投げ方をされたようです。
ここでようやく、おじさんが名乗ってくれました。
ラベンさん、というのですね。予想はしていましたが、彼が今回のポケモン博士のようです。
なんかこの人、アローラの「ぼくだぜ!」の博士(ククイさん)に似てません? いや気のせいかも?
でも異国の人っぽくはあります。舞台は「大昔のシンオウ」という話ですが、明治以降の時代感なんでしょうか。
「いまはこのコたちを……」と博士が何か言いかけたところで3匹が一斉にかけ出していってしまいます。なんの躊躇いもなく砂浜から遠ざかっていくポケモンたち。ラベン博士に一体何をされかけていたのでしょうか……。
「オー! どうして逃げだしたりするのです? 待ってくださーい!」と、博士はポケモンたちを追いかけていってしまいました。なんというか、ボイスは一切ないのですが、絶妙に一般的ではない敬語の感じが、カタコトの外国人っぽい喋り方なのかなと思わせてくれますね。
ここでついに操作できるように!
Lスティックで移動とRスティックでカメラ操作なのはいつもと同じ。Bボタンでかがんでスニーキングもよくあるので違和感はなし。Lスティック押し込みで走るのはちょっと不便です。ZLで一人称視点にできるのはいいですね。……と、操作を確かめるとともに周りを見回していたら、何かを発見しました。
光を放つ謎のアイテムを拾い上げてみると、画面にメッセージが表示されます。
「アスセウスフォンとしめいをたくす すべてのポケモンとであえ」
え。まさかこれ、あの時アルセウスが光の塊に変えた主人公のスマホですか。
見た目をアルセウスエディションに改造されたばかりか、オトモダチ登録されてアルセウスから通知が届くようになってしまったようです。勝手がすぎませんか、この伝説のポケモン。
主人公は早くも諦めて状況を受け入れたのか、別段反応を示さず、アルセウスフォンをケツポケットにしまいました。(めちゃくちゃひっかかりそうなデザインしてるのにすんなりと。)
さて。
探索もそこそこに、ポケモンたちを追いかけていったラベン博士のもとに歩いていくと、何やらお困りの様子。
逃げたポケモンを捕まえられずに困っているようです。
「助けましょうか」とか何一つ申し出ていないのに、「ほかに頼る人はいません!逃げた3匹の捕獲をお願いするのです!」と勝手にそういうつもりで話を進めています。「ポケモンはモンスターボールを投げて捕まえるのです!」と断る隙も与えずモンスターボールを50個も寄越してきました。
そして驚きの新事実を口にします。
「どのポケモンも小さくなる習性を持っているのです!」
ええ!? ポケモンの方にそういう機能があったと!?
科学技術の力でポケモンを小さくしてモンスターボールに収めているものだとばっかり思っていたのですが、まさかのポケモンの方に小さくなる能力が備わっていたとは……。これ、科学が発展していない過去の世界でモンスターボールを使うための後付け設定じゃないですよね……?
衝撃の新事実に動揺しているうちに流されて、結局主人公が逃げた3匹を捕獲することになりました。
ここでポケモンゲットのチュートリアルです。
ZLでターゲットに注目して、ZRを押してモンスターボールを構え、ZRを離して投げる、とのこと。
アクションゲームの弓の操作みたいな感じですね。
ポケモンレジェンズでは、バトルをしないでゲットすることができるみたいです。
レッツゴーピカチュウ・イーブイもポケモンバトルをせずにいきなりモンスターボールを投げつける仕様でしたが、戦闘画面に切り替わることすらなく、フィールドでそのままボールを投げられるのはすごく良いですね。
チュートリアル捕獲を3匹分終えると、博士はお礼とともに落ちてきた主人公についての見解を述べました。「キミの出現にはなにかしらの意味があるように思えるのです……」と。抜けてる振る舞いから一転、急に学者さんらしくなります。
ポケモンを捕獲した際、博士は「キミは珍しいことにポケモンを恐れていないのですね」と驚いていた様子だったので、主人公のこのポケモンへの対応力はかなり異質なようです。なにかしらの意味があると捉えるには十分かもしれません。
すると主人公、なにを思ったのか、まるで印籠を突きつけるかのごとき様相で、博士にアルセウスフォンの画面を向けました。
先ほど画面に表示されたメッセージの内容を伝えたようです。(もしくはそのまま表示してあったのかも。)
博士の反応は「不思議な代物ですね」と、思っていたよりもずっと冷静でした。
スマートフォンなんてこの時代には当然ないでしょうし、もっと驚いても不思議ではないのに。むしろ学者先生なんですから「ナニコレ見たことない!」くらいの好奇心を見せてもいいのに。ポケモン以外にあんまり興味がないんでしょうか。
何かに思い至ったのか、ラベン博士は自身の夢を語り出します。
博士の夢は、この地方はじめてのポケモン図鑑を完成させること、なのだそうです。それはすなわち、すべてのポケモンを捕まえることになるのでしょう。ところが、モンスターボールは開発されたばかりで、ポケモンを捕獲できる人は少ないのだそうです。そこに突然現れたのが主人公。この時代で開発されたばかりのモンスターボールを、まるで使い慣れているかのように、使いこなしてみせます。
もしこの子がダイパクリア後のヒカリなのだとしたら、そりゃあゲットもバトルもお手の物でしょうね。
博士は「助け合いませんか」と提案します。自分がラベン博士でも同じ提案をしたと思います。
利害どころか目的が一致している上に、相手は、自分がやりたくてもできないことを簡単にこなせる能力を持っていて、しかもとても困っている状態なのですから。
「ええっと」と言葉を濁し続けても一生ループする雰囲気だったので5回くらいであきらめました。
おとなしく承諾すると、ラベン博士は「正体不明のキミですが、ポケモン図鑑完成のためボクはキミを歓迎します!」と、笑顔で伝えてきました。「怪しいとは思ってますが働いてさえくれれば気にしませんよ」と圧をかけられている気がします。この人、結構したたかでドライですね。
取引が成立したところで、博士が居を構えていると思われる「コトブキムラ」に案内してくれるみたいです。
ちゃんと衣食住の手配をしてくれるようで、安心しました。これからどうなってしまうのだろうという不安は拭いきれないと思いますが、今は成り行きに任せるほかありません。
先を歩いていく白衣の背中を追って、主人公も歩き出します。しかしふと足を止めて、上を見上げました。
高い山の頂のさらに上の天上に、下界を見下ろす鉛色の雲が渦巻いていました。稲妻がいくつも瞬くその不吉な渦の中心には、まるでヒビから漏れ出るように白い光がのぞいています。
操作確認で走り回っていたときから気になっていました。あれは一体なんなのでしょう。
わざわざ見せたということは、ストーリーに関わってくるのでしょうね。
【つづく……】
さいごに
いやー、まさか異世界転生(過去転移)ものだとは思いませんでした。
主人公の名前「ショウ」にしてしまったんですが、これは「ヒカリ」の方がよかったやもしれません。
ちょっと遊んだだけですがもう面白そう! 早く自由に動き回れるようになりたいです。